発起設立の払込みがあったことを証する書面(通知)

こんにちは、西宮市の司法書士の藤原です。西宮は昨日の午後から雨がずっと降っておりましたが、今は雨はあがり、どんよりとした空模様となっております。湿度も高いようで、外を歩いているとジメジメ感があります。いよいよ梅雨本番の天気になりますね。

さて、本日は株式会社の発起設立の際の添付書面「払込みがあったことを証する書面」について、法務省より通知(令和4年6月13日付法務省民商第286号)がありましたのでそのお話をしたいと思います。

まず、「発起設立」とは何か? 発起設立とは、株式会社の設立方法の一種で、簡単にいうと、発起人(=最初の株主となる人)が資本金を出資して設立をする方法です。一般的には株式会社を設立する場合に発起設立の方法を選択することが多いです。そして発起設立を行う場合には、実際に発起人が出資をしたことを証明する書類として、「払込みがあったことを証する書面」を作成し、登記申請書に添付する必要があります。

では「払込みがあったことを証する書面」とは何かといいますと、具体的には、実際に出資がなされたことを証明するために、発起人の通帳のうち、口座番号等と出資の履歴が分かるページのコピーをとり、これらをホッチキス止めして作成した証明書のことです。「ちゃんと出資をしています」ということを証明する必要があるため、この書類を作成する必要があるのです。

 

今回の通知の要点としては、原則として出資の払込みは公証人に定款認証をしてもらった後にするべきところ、

①定款の作成日又は発起人全員の同意があった日以降の払込みで問題なく、

②さらに、定款作成日又は発起人全員の同意の前の払込みであっても、今回の設立に際して出資されたものと認められるものであっても問題ない

以上2点の取扱いが可能であると示されたことにあります。

実務的には、①のタイミングで出資をお願いすることが多く、定款の作成日を出資前の日付にすることが多かった(これは便宜認められていました)のですが、これが公に認められ、さらにそれより前の日付でも出資が可能となったことに大きな意義があると思います。出資の払込みの日付と定款作成日は設立業務の中でも注意すべき論点になるのですが、それがだいぶ緩和されるのではないでしょうか。実際に②のケースで、設立よりどれぐらい前の出資であれば今回の設立についての出資として認められるのかは今後議論がなされる部分かとは思いますので、注視していきたいと思います。

本日はここまでです。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

司法書士 藤原亮介