手書きの遺言を作る場合の注意点①

2023年1月24日

遺言書を作成しようと考えた場合、「自筆証書遺言(=手書きの遺言)」を選択される方も多いかもしれません。実は、自筆証書遺言は作成自体はそれほど難しくはありません。

 

自筆証書遺言を作成する際に法律上求められている要件は、以下の4点のみです。

  1. 全文手書き
  2. 日付の記入
  3. 名前の記入
  4. 押印(実印でなく認印でOK)

 

4点全てを満たす必要があります。どれか1つでも欠けていると有効な遺言とはなりません。これだけ見ると、作成のハードルは低く感じられるかもしれません。実際、字を書くのが難しい方でなければ、手軽に作成できるため、自筆証書遺言を選択される方も多いです。

 

ところで、1の“全文手書き”ですが、こちらには近年法改正があり、一部緩和策があります。
具体的には、財産目録については、手書きで記入する必要はなく、パソコン等を使って作成することが可能であり、また、不動産については登記簿謄本のコピーをつけたり、預貯金であれば通帳のコピーをつけたりといった、財産自体のコピーをつけることで、手書きで財産の記載をすることを省略できます。

法改正前は、不動産や預貯金の記載も全て手書きでする必要があり、登記簿や通帳の記載のとおりに間違いなく記載する必要があったため、特に財産を多数持っている場合には、記載ミスから遺言書通りに相続手続きが進まないケースがありました。今後は目録を手書きにしないことでこういったミスは防げる可能性が高くなると思われます。

但し、財産目録については、とても重要かつ間違いやすい注意事項が1点あり、手書き以外で作成した財産目録については、そのページごとに名前と押印を行う必要があります。これが抜けてしまうとそれだけでも遺言書が無効となってしまうため注意が必要です。

 

一見簡単に作成できそうな自筆証書遺言ですが、実際には、4つの要件を満たさない遺言書が多くあります。本人はしっかりと遺言書を作成したつもりでも、「日付を書いていない」、「押印がない」といった遺言書に出会うことがしばしばあります。自筆証書遺言の作成を検討される方はこの記事を参考にしていただき、書き方等ご不安な方は是非一度、司法書士藤原事務所までご相談ください。

 

本日はここまでです。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

司法書士 藤原亮介