本店移転と本店変更~実体に応じて登記の原因も異なります~

本年初のブログ記事です。本年もこのホームページをご覧いただいている方へ有益な情報をお届けできるようにブログを更新していきますので、お付き合いのほど宜しくお願いいたします。

 

さて、本日は会社・法人登記の本店移転登記についてお話したいと思います。
会社や法人は、本店(主たる事務所)を定める必要があり、これを登記します。この本店を移した場合には、本店移転の登記を行う必要があります。

 

そして、この本店の定め方ですが、一般的に「○○市○○町○丁目○番○号」までは定めますが、その場所がテナントビルなどである場合、ビル名や部屋番号、階数等を登記するかどうかは任意です。ビル名、部屋番号まで登記していれば万全ではありますが、通常は会社・法人宛に郵便物が届けば問題ないので、実務上、ビル名・部屋番号は登記しないケースも多いです。

 

先日、会社の本店移転登記のご依頼を受けました。
この会社は元々、本店に、住所地の他、ビル名と階数まで登記をしている会社でしたが、今回同じビル内の別の階に移転することになり、今後のことも考えて、ビル名は登記し、階数は登記簿上から削除したいとのご希望でした。

 

早速、ご依頼の内容で登記申請を行ったところ、法務局より連絡がありました。「今回の本店移転は、単に階数を削除するためのものですか?それとも実際に移転は行っているのですか?」との質問。
どういうことかと言うと、例えば、実際にはビルの部屋から移転しておらず、単に階数を削除するだけの場合、登記原因が「○年○月○日本店移転」ではなく、「○年○月○日本店変更」になるようです。つまり、原因が「移転」ではなく「変更」になるのです。

 

実務上、登記簿上の本店に階数を登記していると、今後同じビル内で階を移転する度に登記をし直すことになり、費用がかさんでしまいますので、元々階数を登記していても、階数のみを削除したいのとご要望はあります。
そのような場合、実際にはテナントの入っている階は変わっていないのに、登記の原因を「移転」としてしまうと、確かに違和感があります。「変更」であれば、『本店の記載方法の変更』との意味合いが文言から分かりますので、より正確な記載となるでしょう。

 

今まで、「本店変更」という原因での登記を申請したことがなかったので、一つ勉強になりました。

 

本日はここまでです。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

 

司法書士 藤原亮介